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第4回ハイライト「外山茂吉氏」

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「万年売上5億の会社が1年で10億になる方法」

日時:2010年3月24日(水)
つたえびと:モキチアンドパートナーズ株式会社 代表取締役・外山茂吉氏

 

今回のつたえびとはモキチアンドパートナーズ株式会社 代表取締役・外山茂吉氏でした。 モキチアンドパートナーズはダイレクトビジネスをプロデュースする日本でも珍しい形態をとっている会社です。このダイレクトビジネスを始めたきっかけは通心販売の「やずや」。以前、働いていた広告代理店での担当が「やずや」でした。
この「やずや」が30億円の売上から2年半で100億円を越える会社に成長するのを間近に見てダイレクトマーケティングの魅力に取り付かれてしまったそうです。
その後、広告代理店として独立するも「広告は手段の一部」ということに気づきダイレクトマーケティングを丸ごと請け負うスタイルを確立。

今回はその外山茂吉に「成功する会社と埋もれる会社の違い」「何のために成長するのか」「5億の会社が1年で10億になった理由」などを包み隠さずお話していただきました。

今回はいつものFukuoka成長塾とスタイルを変えた「双方向型」での開催となり、会場のみなさんが主役として、一問一答形式で開催いたしました。「茂吉問答」と称して、外山茂吉氏と塾長の山本啓一との対談という形式をとり、会場のみなさんもいつでも質問ができるというものです。
この形式をとった理由は、今回は通信販売の話のため、話の内容が難しく講師と会場のみなさんに温度差が生まれるおそれがあり、その結果会場のみなさまの満足度の低下に繋がるかもしれないためです。


独立までの経緯

大学卒業後、独立までの間に4社を経験しました。4社目の会社である広告代理店で働いているときに転機が訪れました。 それは、当時担当していた「やずや」の方に自分の提案が「らしくない」と言われたことがありました。そして、経営発表会に参加させてもらう機会があり、そこで気づいたのです。
「広告を作るには経営者の考え方が分かっていなければならない。」それからは「やずや」の経営計画書を読み込みました。やずやの先代の色々な写真(色々な表情)とよく話をしました。何を考えて会社を興したか、様々なコンセプトについてなど。
やずやの先代と語ることによってやずやを理解しようとしました。それからは提案の内容が変わっていきました。 そうやって「やずや」の思いを理解するうちに僕も僕自身の思いを持ち始めたのです。


当時、広告業界は古い体質でした。ダイレクトレスポンスやチラシは下手物という考えがあり、どうしても分かってもらえないところがありました。社内体制も、結果に対して私達がどう答えていったらいいかということに対してアクションを起こさなければならないのに全然ついてこられないところがあったのです。
だから、そこは自分でやるしかないだろうということで独立しました。


独立後

独立当初はダイレクトマーケティングに特化した会社でしたけれども、ことごとく失敗しました。 そのため、一度頭を冷やしに東京に出たりして勉強しました。

3年目にまた福岡に戻ってきました。僕は事業を知らないといけないと思っている頃、 大きな転機がありました。「キューサイ」に縁があってマーケティング部に籍を置き働かせてもらったのです。これは僕が初めて広告代理店から事業体そのものに入った瞬間でした。あるとき「キューサイ」の売り方会議に出席しました。このとき思ったことは、「これが経営だとしたらこのようになりたい」。

今までだったら、チラシがどうとかWEBがどうだとか言っていた。 しかし、そうじゃなくて商品開発・組織などがどうなのかという問題なのではないかと。 そう思ったことで、ヒアリングの内容が変わりました。 会社の物流や商品等の全体を分かっていれば1個1個分析した上で、1つ1つを改善していけば無理やりにも会社を伸ばす事が出来るのではないかと考えたのです。

それからは色々な人に聞きまわりました。物流・コールセンター・データベースなどの専門家等をクライアントに紹介したりしました。その際に自分は横で聞いていたものだから、プロから色々と学ぶことが多かったです。
そのようなことをしているとだんだん経営について全体の感覚とそれぞれの機能やポイントがうっすらと見えてくるようになりました。

あるとき、今は「0」の会社を「1・2」のレベルまでしてくれと依頼され、できもしないのに引き受けたことがありました。これが僕にとって大きな進化を遂げるきっかけとなったのです。この場合、オペレーションもやらないといけない。実際に伝票書けるのか・電話を受けることができるのか。やったことがないから、それがわからなかった。
お世話になった通販の会社の方にそのことで質問をし続けました。それを続けていくうちに、情が移ったのかその方がうちの会社に入ってきてくれたのです。
それからです。急激に通販会社への一歩を踏んだのです。それまで4・5人の会社だったのが、一気に30人くらいの会社に大きくなりました。商品を持たない通販会社になったのです。これを2年間続けました。
最初の1年間は学ぶということで過ぎました。 次の2年間になると、自分の考えを持つようになりました。 うちに入ってきてくれた通信販売の方に会社の全てを任せていたので自分の会社で自分の会社でないような意識がありました。そんなこともあり方向性のズレも生じていったのです。 そのズレがあったので、自分は自分のやりたいことをやりたい... そこで3人で再出発することにしました。 そんな小さな会社が今では50名弱の従業員がいる会社に成長することができました。 今では、自分の作りたい会社を作って伸び伸びやっています。

茂吉問答スタート

Q:クライアントの社長のやる気の引き出し方はどのようにやっていますか。
A:まず、やる気をあげなければならない人と付き合わない事です。それは絶対です。基本はやる気があるがもがいている人と付き合うことです。 また、邪気は避けねばならないですね。邪な気持ちで商売をしているような人のことです。

Q:自身のやる気はどうやって上げていますか。
A:社是というか命の使い方というのを定めています。やる気と言うか、目の前の事に熱くなるタイプでそれがあったから今があるという感じがします。目の前の事を何とかしたいという気持ちがありました。


Q:通信販売はお客様が手にとって販売ができません。お客様に魅力を伝えるにあたって気をつけねばならないことは何ですか。
A:僕は頭の中で次のように整理しています。   世の中には「作る人」「買う人」「売る人」の3通りしかいないです。    本来、「買う人」がいて初めて「作る人」がいる。それに応えるように商品を作らな いといけない。「作る人」が「買う人」の悩みに応えるのが順番です。買う人と売る 人は繋がっているんです。買う人はそれを買ったことで悩みを解決してくれるかど うかでアクションを起こします。 でも、最近は「買う人」の気持ちが分からずにモノが先にできてしまう。「売る人」は「作る人」の気持ち(なぜこの商品を作ったの、作る人が考える商品の必要性)を受け止めて、それを「売る人」がお客様の価値に翻訳しています。    お客様に商品の魅力を伝えるにあったっては、以上の事を頭に置いています。


Q:茂吉さんが茂吉さんに目覚めた時と比べて、今の茂吉さんは成長していると思いますか。また今の茂吉さんがあるのは、目の前の事をこなしていった結果が今の茂吉さんなのか、それとも自分はこうありたいと思って進んだ結果が今の茂吉さんなのか。


A:そもそも茂吉は成長しているのかっていうのがありますね?
売上は成長しています。
ヨチヨチ成長しているのかな。
当然遠くも見ています。
独立から1~5年間はおたまじゃくしの期間でした。脚が生えてきた状態は5~6年たった頃です。この5~6年目、実際に意識した将来のビジョンは広告代理店では無かったです。実業そのものでした。それはメーカーであり販売者であり、自分の思いを持った・込めた商品を作る事業家になろうと思いました。
それからは、カエルの状態をイメージして全ての決定・行動を変えていきました。 例えば、ある問題に対して選択肢が2つあったとします。今の時点ではこの選択肢の方がいいだろうけれども、将来を考えるともう一つの選択肢がいい場合があります。この場合は将来のことを考えて後者を選択するようにしています。 納得いかなかったら全額返金などのサービスをしていますが、それは将来の会社を考えると、このくらいの事業リスクを耐えられるようでないと自分が目指している会社を作ることはできないと考えています。それくらいの覚悟をして、借金してでも投資していくという腹を決めるためにもそういうことをしています。 それで潰れてしまうならそれでもいいと思っているのです。


  

Q:成長していくイメージを持つことは大事ですか。
A:もちろん大事です。松下幸之助「道ひらく」という本に縁がありました。   毎日仏壇の前で読みました。それがとても成長する上で大きかったです。   日蓮上人の命日とたまたま誕生日が同じだったので何かの縁だと思い、毎日お経を読みました。   他にも、松下幸之助「指導者の条件」も読みました。 こういう本を読んだりして、自分との対話を繰り返す日々でした。   自分の気持ちと現状に対して問いかけを続けていくと何かが自分の中で固まってきます。   この体験がなかったら自分は訳がわからなくなっていたと思います。



Q:従業員採用にあたっての質問です。短期で戦力として育てるために、どんな事をしていますか。
A:僕も悩んでいます。悩みの99%はそのことだけです。そこが全てだと思います。僕も分からないんです。   最近思っていることですけれども、能力はもちろん大事ですけれども、成長すること自体が大事なことだと考えています。どんな人でも採用はしたいです。でも現実ではなかなか難しいものです。理想をどうしたら実現できるかを考えています。 でもそれは、僕自身の成長が全てだと思っています。自分の人生には責任を持って生きて欲しいです。



Q:成長が見えるようなことがありますか。
A:ないですね。 ただ、いろいろな会社を経験してきましたが評価基準等はありました。しかし、思うのはそのようなルールは必要ないと。 僕は3つの基本的な心構えを求めています。主体性・責任・行動の3つです。この3つがあればどうにかなるだろうと思うのです。   野球を例に考えてみます。外野手に例えると、2人の選手がボールを追いかけていったとします。そして、その2人がボールを落としてはならないと思いボールを追いかけて行った結果ぶつかったならば、その2人にはお互い主体性・責任・行動がある。 そういう人たちがぶつかるとポジティブなものが生まれます。そういう衝突で運営されている人間の集団はとてもいいのではないかと思います。だから、僕はルールを決めようとはしないのです。



Q:失敗談はありますか。
A:自分の「利」が先に出たときです。自分の利が出た時のプロジェクトは必ず失敗しています。  近江商人が言っているように、先に「義」があって後に「利」があって栄えるのです。僕もそう思っているのでそれを軸としてやっています。自分の「利」が先に出た時は必ず失敗しています。


Q:売上・利益の方程式・考え方の話をお願いできますか。
A:自分の中では次の方程式を作っています。  BM利益=顧客(人)×LTV(ライフタイムバリュー・顧客生涯価値)-コスト    まず、メッセージ(コンテンツ・クリエイティブ)をどのチャネル・メディア(媒体)で伝えるかどうかです。  こうやってメッセージを伝えた時に、顧客が反応します。そして、電話・メール・ハガキが届きます。そうしてメッセージがちゃんと伝わったときに顧客リストができます。  やっとここから、お客様に商品を売る段階に入ります。売るというのはコミュニケーション(人)で売るんです。  モノが売れたら、「顧客×円」で売上がたちます。そして、この「売上-コスト」が利益になります。  伸びている会社はこの方程式の内容が全てがいいか、どこかが際立っているんだと思います。逆に、伸びていない会社はどこかが悪い。  この方程式を分解してどこが悪いのかを分析して改善点を見つけていくことが必要です。


Q:もし、一から通販を始めるとしたら、何をやろうと思いますか。
A:輸出ですね。日本のいいものを外国に売っていこうと思います。



Q:10年前あたりは通信販売に対してグレーなイメージがありましたが、ここ数年ではこれが改善していると思います。どうしてイメージが良くなったのだと考えますか。
A:まずはメジャーな会社が通信販売を始めたからというのがあるでしょう。  でも根本には需要が高まっているというのがあります。  実際に店舗に行って買うとき、現在では商品が豊富であり入れ替わりも激しいので見極めが難しいものとなっています。  これに対して通信販売の場合は、商品についてオススメの商品を伝えることができたり、電話等でお客様が納得できるまで商品価値を伝えることが可能となっています。  今、このようなことで通信販売の需要が高まっています。これからますます需要が高まっていくでしょう。お客様の期待・要望に応える会社は伸びていきます。お客様に支持され続けるでしょう。



Q:嗜好品(あってもなくてもいい商品)を海外に輸出する場合、どういうところにに気をつければいいと思いますか。
A:これは欲しい人とどのようにコミュニケーションをとるかです。  これは、売る人のライフスタイルを相手に伝えることができるかが重要です。まずは売る人がその商品を使うことで生活を楽しんでいるかどうかです。そして、相手がその商品を使ったときのいいイメージを想像させることができるかどうかです。そういう関係性を築くことができるかどうかです。


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